第一夜。

  1. 2017/07/14(金) 21:58:36_
  2. 夏の鈴薪祭り。
  3. _ comment:6
こんばんは~(*´▽`*)✨
せっかく色々鈴木さんについて考えたのでなんとなく思い浮かんだ
妄想をあげてみることにしました。
題して「夏の鈴薪祭り」

やっと今月の締め切りが終わったから妄想が溢れて来てね...。
お目汚しでしかないですが・・・(-_-;)。
それでも良かったらどうぞ~。




【 第一夜。 】



ー灯火の光に見ゆるさ百合花ゆりも逢はむと思いそめてき
                             万葉集ー

        ともしびに映える百合の花その百合ではないけれどまたあとにも
        逢いたいと思いはじめましたー*ゆりは古語で将来、のちにという意味。



伏せたまつげの重なり。小さな顔にうちかかるさらりとした栗色の髪は
枕元のスタンドランプの光を受けてきらきらと光るー。
そうやってうつむいて本を読む薪の白く細い首筋を見ると彼が男性だと
いうことを忘れそうだった。
きめ細かい肌に綺麗なうなじ、小さな頭・・・これだけを見て男だと分かる人間は
実際にどれぐらいいるだろうか。

そんなことを考えていると視線に気づいたのか本から目を離して
薪がじっと見つめ返してきた。

「鈴木?」
「なんでもない。」

薪は出会う人皆にじろじろ見られるのは常の事なのでそんなには
気にしていないみたいだ。
歩いていても店に入っても薪に気づいた人はしばらく目を離せなくなる様子を
一番間近で知っている。

「その本、気に入ったのか?」
「うん、興味深い。詩集がおまえの部屋にあるなんてー。
まぁそう意外でもないか。・・・しかしリルケって。」

ライナー・マリア・リルケ(1875~1926)
プラハ生まれのドイツ語詩人。のちにはフランス語でも詩作。
精神の荒涼化する現代生活のただなかに、神・宇宙の
本質、人間存在の神秘に対する新しい畏敬の念を持ち込んだ。
魂の発する響きを真の言語美に結び付け、繊細微妙な表現能力を
発したと評される。

「鈴木ならゲーテ(欧米知識人の必須教養)とか老荘風味のヘッセか
理智的なオーディンか神秘的なイェーツって気がしたけど。」
「でもオレに一番似合うだろう。」

薪はクスッと笑ってー笑うといっそう幼く可愛らしく見えるー
鈴木を見た。

「おまえだって原書で読めるのにわざわざ日本語訳なんてって
思ったけどこの翻訳はとてもいい。」
「だろ?」

誰よりも信頼する人間に共感を得られた喜びで鈴木はにっこり笑った。

「どの詩が気に入った?」
「『秋の日』と薔薇の詩。」
「王道だな。」
「いいものはいい。おまえは?」
「巡礼の書のこれ」


  私の目の光を消してください、私はあなたを見るでしょう
  私の耳をふさいでください、私はあなたを聞くでしょう
  足がなくても私はあなたのところへ行くでしょう、
  口がなくても私はあなたを呼び出します。
  私の腕を折ってください、私はあなたを抱きとめます、
  私の心臓で手のように。
  私の心臓をとめてください、私の脳髄が脈打つでしょう、
  私の脳を燃やしてしまっても
  私は血の流れにあなたを浮かべていくでしょう。


       ― 岩波文庫リルケ詩集 高安国世訳より



「・・・壮絶だな。」

薪の瞳が遠いところを見つめるようだった。

「この時リルケは恋をしていたから・・・リルケの人生を
変えた女性、ルー・アンドレアス・ザロメに。」

「ニーチェの元恋人でフロイトとも親しく女性として
初めて精神分析を行った人間。出逢った当時の彼女は
リルケを人間的にも精神的にも上まわっていたー。」

さすがに知っていたか、と鈴木は思う。
う~んと両手を頬に当てて薪は何かを考えていた。

「どうした、薪?」
「・・・ニーチェはザロメに去られてその後発狂している。リルケも・・・」

そのあとを鈴木がゆっくりと続ける。

「リルケも彼女との結婚を望んだが叶わなかったー。薔薇の詩をたくさん
作っているリルケだけど最後は薔薇の棘に傷つき白血病の
兆しが表れて死んだ・・・。だからリルケは薔薇に殺されたとも
言われている。」

「愛したものに傷つけられる。・・・むくわれない死に方だな。」
「・・・それでもいいんじゃないか。」

「どういう意味だ?」いつもまっすぐに人を見る薪がその眼差しで尋ねた。

「愛するものに触れないで死ぬより愛して触れて死ぬほうが幸せじゃないか?」

そう言って微笑む鈴木はオレンジ色の柔らかい光と影をまとって
幻のように見えた。

「・・・薔薇に刺されたとしてもリルケの死は薔薇のせいじゃない。
きっと刺されて死ぬことになっても薔薇に触れたかったんだと思う。」

「死ぬとわかっていても?」
わからない、という顔で薪が聞いた。

「きっと日ごろ薔薇にリルケもたくさんの愛情をもらっていたんだろう。
美しい香りや花や色やその存在に。
リルケが薔薇の詩をたくさん創ってまるで薔薇に贈るように愛したように
薔薇もリルケが愛していたと思う。・・・亡くなったのは不幸な事故で。」

「・・・・・・。」

薪は答えずに何かを考えている様だった。

「・・・・もうそれぐらいにしてそろそろ休め。明日は術科もあるし。」
「そうだな・・・。」

「おやすみ。」
「おやすみ。」

ぱちんと枕元の灯りを消すとたぶん疲れていたんだろう、
薪は、すーくすーくとすぐに安らかな寝息をたてはじめた。

起きている間じゅう脳をフル回転させているんだろう。
やれやれ、と鈴木は思う。

今はまだ夏がはじまったばかりー。二人を包む闇さえどこか華やかで
昼間の熱を下げられないまま温かく優しく寄り添う。

長い夜の季節はまだずっと先のことだったー。


( 了 )


*** あとがき ***

リルケは粟田の趣味です。
粟田最愛の詩人(*ノωノ)♡✨。
でも原書でなんて読めるわけねー粟田です(;´・ω・)。
いいなぁ、薪さんも鈴木さんも~。

【後記】

あんまりに鈴木さんらしくない口調だったんで修正しました。
素直過ぎて青木くんみたいだった~。やっば~。
それで直して良くなったかどうかは不明ですが(-_-;)
書いてすぐにUPするの止めないといけないと思いました。
失礼しました。(7/14)





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comment

ロマンチックです

  1. 2017/07/15(土) 17:56:13 |
  2. URL |
  3. のぎ
  4. [ 編集 ]
粟田様〜
お元気ですか?
毎日暑くて溶ろけてます。

リルケお好きなんですね!
薔薇の棘で死ぬなんて なんてロマンチック

大好きな人に殺される鈴木さんも
ある意味 とても幸せだったかも。
しかも あの薔薇のように美しい薪さんに!
私も薪さんに殺されたい。
そして ずっと薪さんの記憶の中に残りたい!
鈴木さんを書くのと 青木を書くのは
どちらが 書きやすいですか?
鈴木さんサイドは薪さんが可愛い感じで
それもまた良いですねえ。

立葵の花の蕾が上の方まで咲き揃って
いよいよ 夏本番ですね。
鈴木さんの命日 何か考えてます?
楽しみにしてまーす。
軽く 催促。。。


Re: ロマンチックです

  1. 2017/07/15(土) 19:38:01 |
  2. URL |
  3. 粟田律
  4. [ 編集 ]
の、のぎ様~っ!!!( ;∀;)✨

> 粟田様〜
> お元気ですか?
> 毎日暑くて溶ろけてます。

ええ、粟田は元気です!のぎ様が第八管区なので
あの豪雨のこととか心配しておりました。
良かった~。お元気で(/_;)✨

> リルケお好きなんですね!
> 薔薇の棘で死ぬなんて なんてロマンチック

リルケ大好きです~。秋の日も薔薇の詩もとても
いいですよ~。粟田の趣味全開。

> 私も薪さんに殺されたい。
> そして ずっと薪さんの記憶の中に残りたい!

あらら~(;´・ω・)
ダメですよ~。のぎ様が心霊になるのもダメやし~
薪さんを心霊生活に引き込んでも~(苦笑)。

> 鈴木さんを書くのと 青木を書くのは
> どちらが 書きやすいですか?

それは青木くんです~。分かりやすい(感じ)なんで。
でも大抵泣き落としで薪さんを落とすオチしか出て来ず
ベタすぎるな~って思ってましたが
原作がそうだからま、いっか~と。(すいませんすいませんorzlll)

> 鈴木さんサイドは薪さんが可愛い感じで
> それもまた良いですねえ。

ありがとうございます~(*ノД`*)・゚・。

> 立葵の花の蕾が上の方まで咲き揃って
> いよいよ 夏本番ですね。

立葵!!綺麗ですよね~。大好きだわ✨
色々な色がありますよね~。
去年、地味な赤茶色の花を見ました。珍しくて綺麗でした~。
あ~、今年まだ見てないや~。

> 鈴木さんの命日 何か考えてます?
> 楽しみにしてまーす。
> 軽く 催促。。。

こ、こんな粟田に催促なんて...光栄です~。
いちおー鈴木さん祭りは第三夜まで構想があります~。
薄目で見守ってくださいませ♡✨


か、かっこいい・・・・・・

  1. 2017/07/15(土) 23:30:06 |
  2. URL |
  3. さらし
  4. [ 編集 ]
粟田さんっ

おじゃましますっ。なかなかコメントできなくて、すみません~。
鈴薪さんがっ、か、格好いい・・・・・・
リルケとかニーチェとかすげえ文学的で、びびってます。
さすが詩人。
でも、鈴薪ってこういう高度に文化的なことをサラッと話してそうなイメージですよね。高尚っていうか。そしてそれが似合う男達。いいなぁうっとり・・・

時々、青木はそういうの難しいんだろうな、と思いつつも、いやいやあの子も実は東大卒(しかもスキップ)だったりするし!とは思うんですけど。
出来るのに庶民的で安らいだ感じのところが青木のいいところなんかなぁと思ってます。

あれ?素敵な鈴薪についてのコメントだったんですけど、青薪話になっちゃってすみません~

ではまたまた~


詩集かぁ・・・

  1. 2017/07/16(日) 00:48:05 |
  2. URL |
  3. ひろっぴ
  4. [ 編集 ]
粟田さん、こんばんわ。

暑さに負けてないでしょうか。
私は完敗です・・・ぼろ負けです( ノД`)シクシク…
暑さのせいで、コメントがおかしいかもしれないですが
見逃してやってください。

今回のお話し・・・
素敵ですねぇ。
詩集なんて、たぶん人生の中で1,2冊読んだかな・・
粟田さん、すごいですねぇ・・・
尊敬します。

リルケとかニーチェとか名前しか知らないので
申し訳ないです・・

ほんと、今回もきれいな文章で素敵です。
二人の会話、頭いい人たちの会話だわぁ。
鈴薪だからかな。
青木だと薪さんがもっと難しいこといって
青木を困らせて楽しみそうだ・・・

この二人、一緒のベッドで寝てるんですよね?
(みなさん、解ってるのに、あえて質問してすみません
なんとなく確認したかったのです・・・)
可愛いなぁ。
お互いの部屋にお泊りの時は
二人で一緒に寝るのが当たり前な感じなのがいいなぁ。
鈴木さんが薪さんをぎゅってして寝てる気がする。
朝も鈴木さんが先に目を覚まして
薪さんをぢぃ~っと見つめてる気がする。

第3話まであるんですよね。
次回も楽しみにしておりますよ~。

またお邪魔させてもらいます。


Re: か、かっこいい・・・・・・

  1. 2017/07/16(日) 17:48:28 |
  2. URL |
  3. 粟田律
  4. [ 編集 ]
さらし様~(*´▽`*)✨

> おじゃましますっ。なかなかコメントできなくて、すみません~。

そんなんええんですよ~。お元気でいて下さいね~。

> 鈴薪さんがっ、か、格好いい・・・・・・
> リルケとかニーチェとかすげえ文学的で、びびってます。
>さすが詩人。
> でも、鈴薪ってこういう高度に文化的なことをサラッと話してそうなイメージですよね。高尚っていうか。そしてそれが似合う男達。いいなぁうっとり・・・

格好いい頂きました!!有難うございます~( ;∀;)✨
いや~大変だったんですよ。
一回目鈴木さんぽさがゼロだと自分でも思いました。
あの人は3,4回練らないと駄目ですね~。
カシコな感じがでなくってさ~(;´・ω・)。

> 時々、青木はそういうの難しいんだろうな、と思いつつも、いやいやあの子も実は東大卒(しかもスキップ)だったりするし!とは思うんですけど。
> 出来るのに庶民的で安らいだ感じのところが青木のいいところなんかなぁと思ってます。
> あれ?素敵な鈴薪についてのコメントだったんですけど、青薪話になっちゃってすみません~

いいですよ~✨
青木くんも「外科室」読んでたしけっこう文学青年かも。
あの子のセリフはそんなに練らなくてもいいからいい子だわ~。

あれですよ!清水先生も薪さんは何回もひっくり返すけど
青木くんは少な目で行けるっていう・・・。
・・・す、すみませんorzlll💦


Re: 詩集かぁ・・・

  1. 2017/07/16(日) 17:58:38 |
  2. URL |
  3. 粟田律
  4. [ 編集 ]
ひろっぴ様、こんにちは~(*´▽`*)✨

> 暑さに負けてないでしょうか。
> 私は完敗です・・・ぼろ負けです( ノД`)シクシク…
> 暑さのせいで、コメントがおかしいかもしれないですが
> 見逃してやってください。

大丈夫ですよ!!ちなみに粟田は寒がりなので
熱中症気味になるまで負けてません。(それダメなヤツ。)

> 今回のお話し・・・
> 素敵ですねぇ。
> 詩集なんて、たぶん人生の中で1,2冊読んだかな・・
> 粟田さん、すごいですねぇ・・・
> 尊敬します。

ありがとうございます~照れます~(/ω\)♡
リルケは分かりやすい詩が多くて大好きだし
お勧めです~。

> リルケとかニーチェとか名前しか知らないので
> 申し訳ないです・・

粟田もあまりニーチェは知りませんすみません(-_-;)。

> ほんと、今回もきれいな文章で素敵です。
> 二人の会話、頭いい人たちの会話だわぁ。
> 鈴薪だからかな。

そう思って頂けたならうれしいです~( ;∀;)✨
大変でした~。なけなしのカシコ要素振り絞りました~。

> 青木だと薪さんがもっと難しいこといって
> 青木を困らせて楽しみそうだ・・・

ですね(笑)。

> この二人、一緒のベッドで寝てるんですよね?
> (みなさん、解ってるのに、あえて質問してすみません
> なんとなく確認したかったのです・・・)
> 可愛いなぁ。

そういう感じです。

> お互いの部屋にお泊りの時は
> 二人で一緒に寝るのが当たり前な感じなのがいいなぁ。
> 鈴木さんが薪さんをぎゅってして寝てる気がする。
> 朝も鈴木さんが先に目を覚まして
> 薪さんをぢぃ~っと見つめてる気がする。

うっわ~ドキドキしますね~。薪さんが相手なら
ちょっと危険やわ~(;´▽`A``

> 第3話まであるんですよね。
> 次回も楽しみにしておりますよ~。

連続ものじゃないんですがあと2回鈴薪さんが
あります。
でも青木くんと違うからけっこう台詞練らんと。
大変だよ~(´・ω・`;)

> またお邪魔させてもらいます。

ありがとうございます、励みになります✨
頑張ります!!


 
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プロフィール

粟田律

Author:粟田律
初めまして✨[庵]д・)ノチラ
粟田律、と申します。
清水玲子先生の
「秘密 THE TOP SECRET」に
はまりました。
文学と漫画をふくめ芸術と美しいもの
すべてが好きです。
妄想を書き連ねております。
ブログ初心者です。
宜しくお願い致します。

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