仲秋。

  1. 2017/10/07(土) 20:28:57_
  2. 仲秋。
  3. _ comment:2
こ、こんばんはゼェハァ(lll゚Д゚)ノ[庵]
要領の悪さもあってバタバタが収まらない粟田なんですがBON子様宅で
仲秋のコメしてたら(ひとりで(-_-;))盛り上がってしまいまして
こんなものを書いてしまいました....。なんかすみません、すみません、すみません[庵]ョд;)






【仲秋】
 
 - 思ひきや別れし秋にめぐり逢ひて又もこの世の月を見んとは
                                藤原俊成 -

         思いもしなかった。永遠の別れを告げたはずの秋にめぐり逢い、
         こうして生きながらえてこの世で月を見ようとは・・・。


風が樹々を揺らす。
ゴゴーと外で吹く風の音が閉めたガラス窓からも聞こえてきた。

「ねぇマキちゃんは?」
「ちょっと本を読んでるみたいだけど・・・舞が寝たらあとでちゃんと寝るよ。」

大丈夫だからね、と微笑むと
不安げな顏がいくらか和らぎ舞はゆっくり眠りに落ちていった。

はやる気持ちを抑えて静かに部屋の戸を閉めて
庭へ急ぐと思ってた通り薪さんはパジャマ姿のまま月を見ていた。

一面月の光で満たされた庭の真ん中で月光を浴びながら夜空を見上げている薪さん。
庭じゅうの樹々が強い風に揺れて服も綺麗な髪も風で乱されている。
華奢な体を強風になぶられるに任せた彼は頼りなげで少年というよりは
少女の様に儚げだった。

いつもは視線だけで対峙する相手が気圧されるような人なのに・・・。
おっと、いけない。見とれている場合じゃなかった。

「薪さん!!何やってるんですか~!!」
「・・・青木。」

ずんずん近づいて薪さんをしっかり捕まえる。

「も~っ!!何やってんですか!!風邪でも引いたら
どうするんですか!!」

本気で怒っているオレを薪さんは今目が覚めたかのようにぼんやりと
見上げていた。

「ささっ!!早く家のなかに入りましょう!!もう!!体もこんなに冷えて
手もこんなに冷たいじゃないですか!!もう~!!
もう一回お風呂に入ってもらいますからね!!いいですね!!
しっかり温もるまで出て来ちゃダメですからね!!」

ガミガミと怒りながら青木は薪を風呂に入れた。
親子って似ると言うが青木も母親のこういう所を受け継いだのだろうかと
薪はかすかに笑った。

青木は浴槽に腰かけて湯船に浸かった薪の白く細い肩に湯をかける。
薪が青木の腰に頭をあずけると、どくんと体温が上がった気がした。

「・・・不思議だったんだ。」

ぽつりとひとり言のように薪がつぶやいた。

「え?」

「こうしてまた月を見られたことが。」

こうして青木と舞と暮らして幸せなこと、たった一人として大事にされること
それ自体が不思議で不安になる。

鈴木がいなくなって・・・いや、鈴木をこの手で殺してしまってからきっとろくな死に方を
しないと思っていたのに。
将来、その時が来てどんな死に方をしたとしても今が満たされすぎて怖くなる。

「・・・薪さん。」

ちゃぷん。と薪は静かな水音をさせて立ち上がった。
そのまま背を向けて風呂を出て行こうとしてバスローブを手に取ったら
いきなり後ろから抱きすくめられた。

「・・・濡れるぞ。」
「もう濡れてます・・・薪さんのせいです。責任取ってもらいます。」
「ば、ばかっ。離せ!!」

暴れてみたが体格差で敵わない。いつも通り軽々と抱き上げられてベッドへ運ばれた。


******

「薪さん。」
「・・・・・。」
「薪さんてば。」
「・・・・・・。」
「薪さ~ん。」

拗ねてぷいっと横を向いたままの薪さん。
また怒らせてしまったけれど、もうそれでもいいかと思う。
月を見ていたときのように淋しそうだったり湯船につかっていたときの様に
自分を責めている薪さんは・・・いくら綺麗でも見ていて辛い。
そんな薪さんより今、子どもの様に拗ねている薪さんを見ている方が
オレは嬉しい。

「可愛いですよ、薪さん。」

小さな背中に声をかけると薪さんはビクンとして布団にもぐりこんでしまった...。
余計可愛いんですけど。


(了)





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comment

  1. 2017/10/09(月) 13:36:15 |
  2. URL |
  3. たんぽぽ
  4. [ 編集 ]
ほんまに月がよく似合う。
「薪さーん。」三連発のとこがすき。
あったかいよ、あおき。いい仕事しているね。からだもハートもぬくいよ。おこった風に。恥ずかしがっている薪さんはホントにホントにかわいいね。

あーわたしもそっと覗いてみたい←最後がへん。

はあ。ひと仕事終えて休憩タイム。SSみるのがお楽しみ。最近はお楽しみがあるから毎日頑張って暮らせてる。ありがとうございます。読むごとに呟かずにはいられないけど。えっと、これでもセーブしてる時もありますのよ。^_^;これでもね。

粟田さまのSSはかならずと言っていいほど、今井さんの影がのぞいてるのがわかってきたとか。増殖読んでSS読んで、なみ様がリアル波多野ちゃんと称したのがわかってきたとか。
まだおしゃべりしたいネタもありますが今はここまでといたしましょう。
怨霊のようにぐるぐると徘徊してるから、わはっ、また来てるよと、笑っていただければ満足でございます。
また来ますよ。ほっといたらいいですよ。


Re: タイトルなし

  1. 2017/10/09(月) 21:41:14 |
  2. URL |
  3. 粟田律
  4. [ 編集 ]
たんぽぽ様こんばんは✨

> ほんまに月がよく似合う。
> 「薪さーん。」三連発のとこがすき。
> あったかいよ、あおき。いい仕事しているね。からだもハートもぬくいよ。おこった風に。恥ずかしがっている薪さんはホントにホントにかわいいね。

わ~ありがとうございます。
またもや書いてそのままUPしたアカンやつですがご感想頂いて嬉しいです~( ;∀;)✨

> あーわたしもそっと覗いてみたい←最後がへん。

ふふふ。いっしょの「ゲス野郎」連盟なんですかね~。←止めてあげて。

> はあ。ひと仕事終えて休憩タイム。SSみるのがお楽しみ。最近はお楽しみがあるから毎日頑張って暮らせてる。ありがとうございます。読むごとに呟かずにはいられないけど。えっと、これでもセーブしてる時もありますのよ。^_^;これでもね。


ええ~っ!!Σ(゚Д゚;)粟田なんぞの小話などより大作美作がザクザク
ございますのにっ!!ガク((( ;゚Д゚)))ブル
粟田が最近のブロガー様で文章が綺麗だな~好きだな~って思うのは
lily様ですよ~✨超好き。

> 粟田さまのSSはかならずと言っていいほど、今井さんの影がのぞいてるのがわかってきたとか。増殖読んでSS読んで、なみ様がリアル波多野ちゃんと称したのがわかってきたとか。

わはは(;´▽`A``粟田の生態丸わかりですね~。

> まだおしゃべりしたいネタもありますが今はここまでといたしましょう。
> 怨霊のようにぐるぐると徘徊してるから、わはっ、また来てるよと、笑っていただければ満足でございます。
> また来ますよ。ほっといたらいいですよ。

ありがとうございます~✨


 
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プロフィール

粟田律

Author:粟田律
初めまして✨[庵]д・)ノチラ
粟田律、と申します。
清水玲子先生の
「秘密 THE TOP SECRET」に
はまりました。
文学と漫画をふくめ芸術と美しいもの
すべてが好きです。
妄想を書き連ねております。
ブログ初心者です。
宜しくお願い致します。

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